うたのある生活

村上2

人がみな 神の子ならば 温かく 優しき腹に 生まれておいで

安らかに 眠れる場所が ほしいから 私の中に 入ってこないで

あきらめて 金も家庭も 子もいらぬ 欲なき人は 罪人なるか

貧乏人 ネットつないで 暇つぶし 電気があれば 何でもできる

いつまでも たえることなく 友だちで 情のかよった 他人でいよう

別れにし 君が冷たさ 焼け残る 骨の少なさ 涙で見えぬ

お前ひとり どうあがこうと この世界 何も変らぬ 自由に生きよ

環境を 変えてみましょう 考えを 変えてみましょう 我は鬱の子

歳経れば どんな苦労も 美しい 夢のように 思い出される

初めに歌があった 歌は人と共にあった 歌は人であった

あなたから 繋がる機械 あなたの 鼓動がやむと 止まる機械

とりけもの 親の子育て 上手いのは 勝ち抜いてきた エリートだから

長男も 長子も抜かん 貴族の世 争ひ勝つが 生きる価値なり

さけられぬ 定めのままに 咲く花は 命繋ぎて 名残なく散る

百姓の 秋は実りの よろこびに 暇な貴族は 寂しとうたう

私たち この悲しみと 喜びを 繰り返すため 生まれてきたの

ブックオフに 私の探す 本はない 売られないのか 売れてないのか

思い出は 別れる人と 作るもの 別れぬ人や この世にはある

ここでなら 役立てられる 官と爵 皇胤のさと 都はこにわ

あなたに 父と呼ばれた その日から 俺の世界は 変りました

ありがとう ごめんなさいと 微笑みを くり返して 歳をとれたら

ありがとう あなたに会えて よかったよ あなたをずっと 愛しています

ここでまで いい子を演じる ことはない 悪い子になる 必要もない

いつだって 最後の人に なるように 願った腕に 抱かれてるのに

大魔法 勝利もたらす 代償に 我が身を熔かす 焔が見える



主よ、東の最果てには 神がたくさんいらっしゃいます

残酷に そんな貪欲に やらないで 言葉をなくして 命を消して

自分では 爆弾落した つもりでも 小石くらいの 価値しかないの

ネットには 星の数ほど うたがある 私の言葉 銀河を飾れ

君の代を 千代に八千代に 守りたい 一年長く 一日も長く

結婚は 船出でした 僕たちは ひとつの舟で 沖に出ました

こんな世界 ほしかったら あげるのに どうして君は 執着するの

どちらを 選択しても 責任は 俺が取るから 君は格好いい

昔は よかったなどと 無責任な 補正をすまい 今がマシだよ

今日も蚊の お母さんは 懸命に 巨人の生き血 すすりに来ます

手も足も 真っ黒にして 稼ぐ母の 白き娘に 面影を見る

君の描く 二次元嫁は 美しい 男の誠実 女体に乗せて

美しい 美しい眼をして 翁は 静かに働き 静かに眠る

他人に 救われることが あります 何の事情も 知らない人に

しあわせに 育ててくれて ありがとう 底辺なんて 知らなかったよ

似た言葉 使われてると 嬉しくて 僕らは同じ 来た時代の子

夫ひとり 守れぬならば 妻なんて 辞めているの クイーン動く

街中で 座れる場所を 探してる 歩き疲れた 流浪の民よ

白い背に 浮ぶゆかたの 帯模様 陸の金魚は 夜店に泳ぐ

石橋を 叩いて壊す 力持ち ここより先へは 行かせないから

流されし 痛み悲しみ 苦しみも みづから生まれ みづへ帰らむ

在りし世を 偲ぶよすがは くれなゐの 王の茵の 去りがたき色

深海に 潜む宇宙は 有限の 命の水輪 生まれては消え

男は 言葉で嘘を つきました 女は体で 嘘をつきます

十代を お利口さんに 過しても つまらん大人に なるだけでした



銀河かと 見まがふ色は 白き花 夜藍の墓地に 低く咲くなる

朝夕の 風は涼しく なりにけり ものの始めは 端より変り

若者は 殺す間際に 改宗した 地獄で会いたい 人のいるため

狭い部屋 作り付けの 寝台で ひとり静かに 眠れる夢を

神の名を かたって人を 殺すのか 人類同士の 兄弟喧嘩

この星に はじめて来た子 習慣も 言葉も知らず 困り果てて泣く

よの中の うつくしければ 生きたひと いふこともなし 死ぬこともなし

僕たちは 旅の途中 この世界 見たり聞いたり 楽しんでくるね

愛されし 子に裁かるる 嬉しさよ 親の支配を 否定しなさい

偏屈な 私の母の 口癖は 建設的な 話をしよう

鎖に つながれて育った 子ゾウよ お前はもう 自由なのだよ

負けたから 終りじゃないし 勝ったから 終りでもない 咲ちゃんありがとう

欲しがって すべての門を 叩きなさい 手に入れるたび 何を失う

どなたです 天国の門を くぐるのに 痛みを伴ふ ようにしたのは

そんなに つながりたくは ないのよ 電波の網の 届かぬ場所へ

有り余る 母性本能 もてあまし 二次元嫁と 猫可愛がり

糸の切れた 凧のような 人生だ 凧はようやく 自由になれた

生れ落ち すべては始まってしまった 師走の馬屋 清しこの夜

一生の 傷がついたと 思ったの 子どもは親を 超えてゆくもの

あらうみに 迷ひし舟も 憩ひなむ 月と風と 波のしじまに

冬の田に 胸ふくらます 雀の子 騒がしかりし 落穂拾いよ

人知れず 家を出ずれば 如月の 藍より赤へ 明けわたす空

内からの 新芽萌え出づるに及びて 旧き枯れ葉 やすらかに落つ

わたくしを 助けたまひし あの方は 罪びとなれど 私のかみさま



その光 浴びんがために 闇を貫け 自ら選ぶ 新しき朝

指の長い あなたのために ある楽器 あなたにひかれ 思いを話す

貧しくて 心苦しき やうなれど 縁あれかし 天の客人

幼子は 大きくなりぬ 甘えつつ 与えし親に 抗うほどに

集に載る 誉れなけれど この夜に ささやきかはし 消えぬことのは

殺すもの 殺されるもの 解き放て オリーブの木々 生い茂るとき

パンプスを 残さず帰る シンデレラ 仕事のくにの 王子を逃れ

万葉の うたはおおらか 平安の うたはわるい子 夜更かしをして

人のため つづられし詩の 美しさ ぽんぽんぽんぽん ことのはつもる

歯ぎしりに マウスピースを 作りたる 夜のボクサー 誰とたたかう

無心に はたらけどどこか ぬけてをり のどかな女 あひする男

疲れ果て 機嫌の悪い ふた親を 笑わせようと 必死の娘

いつからか 死の訪れの なくなりて 死におもむかねば ならなくなりぬ

ありがとう 私に孫は いないのよ 若きさぎ師の あやまりて切る

この傷が 目に入らぬか 印籠を 取り出すごとく 悲しみ見せじ

願わくは 雪のうちにて 冬死なむ 光も音も 眠れる夜に

太陽も 公転すらし ねぢをまき 進みつづけむ 宇宙時計

波音に 和する祈りの みちゆかむ 天つ空まで 海の底まで

さきちるは ことわりなれど 梅の花 春先駆けし 馬のはなむけ

とみ栄え 人を売買 する都 美しいまま 滅びゆく町

いつの日か 我もかへらむ この星を つくりそめたる 白きガスの火

銀河より 去らぬ定めの 別れにも 君がみ声の 聞えぬぞ憂き

多き水 多き肥料に 傷むかな すぎたる愛の 及ばざるごと

囚われし 女ほほ笑みて 礼をいふ やっとゆっくり 休めそうです

天国の 門たたきたる ともがらに 波うちかけよ 朝焼けの海

この星は わたしのおはか 見習いの 魔法使いと 天使の寝床

色さめし 細き糸なる 銀の髪 はえそろふ日の いかに老いぬらむ

雪降りて 戦やみたる 神の土地

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